トランプの奇術師 ♣️

マジックの雑談、日頃感じた事など

パッと見てわかる

カードマジックの技法「ティルト」は、大学1回生の時、松田道弘さんから関西学生奇術連盟のレクチャーで教えて頂きました。。初めてのレクチャーだったので、楽しかったなぁ、と、この時に記載したノートや写真は今でも残っています。。

 

さて、ティルトローダー、2つのプロペラを前に傾ける飛行機ですが、こいつは、どうも不安定の様です。。あの、厳つい感じが不格好で気になります。。プロペラを前傾させると、重心が動いてしまうだろうし、前の重い感じが見るからにバランス悪そうで。。プロペラの下側がエンジンなのでしょうか、ここが特に見た目に不細工で、エンジンも一緒にティルトさせるみたいで、あらまぁ、といった感じです。。

 

以前、工作機械の新製品発表会にお招きを受けて行った事があるのですが、ベテランのいつもの営業の方に連れて行かれて。。こいつはいけます!、と、実に嬉しそうにおっしゃるのです。。加工性能とか電子制御の CNC の細かい新機能のお話なのかと思ったら。。見てくださいこの格好、と。。円筒研削盤のこの辺の形がいい、とか、長年の勘でおっしゃるのです。。だから、きっと精度を出し続け、故障もない、と。。

 

そういった感覚が、どうも重要な様で。。こちらは、そんなに色々な機種を見ていた訳ではないので、そんなに感動してお勧めされてもよくは分からなかったのですが、グラグラしていてはダメなので、ドシッとした感じがあった方がそりゃいいだろう、くらいで。。でも、そのお言葉に、自社製品に愛着があるお気持ちが実に伝わってきました。。

 

グッドデザイン賞とまではいかずとも、工学美は大切な要素で。。慣れたプロの方が見て、いい、と感じるものは、多分間違いなくいいのだと思っています。。

 

エンジンのバリエーション開発で、試作図面がどんどん出てくる中で、広げて見ていたら、こいつは折れる、と、つぶやかれ。。実験で回したらその通り、そのクランクシャフトは折れました。。作らずして、分かる方は分かるのです。。

 

ちなみに、クランクシャフトは、軸が偏芯していて精度もいるので、割と作るのが大変なのです。。バランスが必要なので、振り子のカウンターウェイトに穴を開けて重量を調整したりします。。その生産ラインを作る時には、ITで言う個別試験をしてから、通しの総合試験をします。。個別試験は、工程ごとにテストピースの製作を依頼するのですが、ある時、ちょっと排気量の大きいクランクが、どこからも作れない、と言われてしまい。。

 

全国に広げて探したら、広島の城下町からOKと言ってきました。。見に行きましたが、小さな町工場で、機械仕掛けの工作機械を人が操っていました。。新設ラインは、ほとんどがプログラムで動く機械だったので、こういうのもあるんだなぁ、と。。

 

さらに余談ですが、工作機械の購入検討で船舶エンジンの工場を見せて頂いた事がありますが。。シリンダーの中に人が入って作業しており、まあクランクの大きい事。。優雅に、回転します。。ちなみに、船のエンジンは止まると帰ってこれなくなるので信頼性が要求され、組立てた後、一度ばらして、再度組み立てるそうで。。もうレシプロは少ないと思いますが、最近は、そんな工場見学をする事もないので、何か機会があれば行ってみたいものです。。

 

機械モノは、重心やバランスが意外と重要で、他にも色々あると思いますが、振動や固有振動数もポイントと思っています。。共振するとダメなので。。ティルトローダーは、どうもその辺もあやしそうな気がします。。制御しずらいシステム特性を、元々持っていそうです。。でも、エンジンがトラブルと動けないので、制御的表現ではゲインがないと立て直せないので、そこに問題があると致命傷かもしれません。。

 

マジックのティルトは、まあ、こんなことするんだ、という感じのものですが、良く出来ています。。でも、これも少し不安定になります。。不安定さを感じさせない様にするのが、制御技術なんでしょう。。

 

現在、初心者の方に向けたマジック教室を企画しています。。カードの技法を順番に学ぶもので、まもなく公開しますので、よろしければ是非。。気軽に学べる所があまりない感じがしましたので、先鋭の若手マジシャンの方にお願いしてみました。。きっと、いい会になるでしょう、今からワクワク楽しみです。。

 

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